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これからの新しいワークスタイルを考える(3/3)

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sunrise Photo by kwkd

これまで2回にわたり、見直しが進む働き方の現状から、新しい働き方が求められる背景などについて考察してきました。

そこで最終回となる今回は、新しい働き方を行う上で克服すべき課題やその対策について考えていこうと思います。

乗り越えるべき課題とは?

ノマドワークや在宅勤務には、今も賛否両論が渦巻いていますが、否定論者の懸念点はおよそ以下の3点に集約できるものではないでしょうか。

(1) セキュリティリスクへの警戒感
(2) コミュニケーションロスとモラル低下への懸念
(3) 組織への忠誠心が薄くなることへの危機感

では(1)から順にその課題と対策について考えていきましょう。

(1)セキュリティリスクへの警戒感

ビジネスにおける情報セキュリティの問題は古くから存在していましたが、企業の公認、非公認に関わらず、従業員による私物のデジタル機器の業務利用が急速に広がったことで、そのリスクは急速に高まりました。

しかしこうした懸念に対応する対策技術や対応策はすでに存在しています。(1)に関する問題意識というものは、新しい働き方を阻害する主要因と言うよりむしろ、新しい取り組みで将来手にするであろうメリットと対策コストとのバランスの問題と見てもよさそうです。

<リスクへの主な対応策>

マルウェア感染
利用端末やサーバにセキュリティソフトの導入

不正アクセス
外部からのネットワーク接続にはVPNやシンクライアントを利用
ネットワーク認証やアクセス制御の強化

盗難・紛失
ログインパスワードの設定
モバイル端末管理ツールによるロック制御・リモートワイプの実施

知識・経験不足
セキュリティポリシー策定
セキュリティリテラシー向上のための教育

(2)コミュニケーションロスとモラル低下へ懸念

従業員が同じ場所に集うことで、はじめて企業としての価値が生まれるという考え方に基づけば、ノマドや在宅勤務という働き方はコミュニケーションロスとモラルの低下を生む元凶でしかありません。事実、米グーグルから米ヤフーのCEOに転身したマリッサ・メイヤー氏も、今年になって「従業員の在宅勤務を認めない」方針を明らかにしました。

米Yahoo!のメイヤーCEO、“在宅勤務禁止”について初めてコメント「現在のYahoo!には適さない」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130422-00000026-zdn_n-sci

ただ、育児や介護を抱える人たちにとって、貴重な就業機会を増やすという無視できないメリットもありますし、イノベーションの源泉生産性を高めるという研究も存在します。

「在宅勤務者は生産性が高い」:研究結果
http://wired.jp/2012/09/03/working-from-home-youre-a-better-worker/

在宅勤務をよしとする側にも、そうでないという側も、同じメリットとデメリットを共有しているにも関わらず、企業によって出す答えが違ってくるのか?

それはおそらく、その組織がどんな状況に置かれているかで、企業としての判断というのは、180度変わりうるものだからです。

より具体的に言えば、もし、社内体制を引き締めたい時期であるなら、在宅勤務は阻害要因になりうるでしょうし、生産性の向上やコスト削減、従業員満足度の向上が喫緊の課題であれば、オフィスワークにこだわらないというのも、一つの選択肢になりえます。そのどちらを重く認識するかは、その企業の状況によって変わるものなのです。

さらに(1)の課題と同じように、携帯電話やビデオ会議、チャット、メッセンジャーなど、実用的なツールも多様化しており、対面でのコミュニケーションをある程度代替することも可能です。やはりこれも、在宅勤務やノマドのような非オフィスワークを完全に否定しうる決定的な課題ではありません。

(3)組織への忠誠心が薄くなることへの危機感

かつて、年功序列、終身雇用の時代には社長を頂点とするヒエラルキー組織は、厳然たる存在感を放っていましたが、一方で情報伝達の遅さや、意思決定を上位者にゆだねる「指示待ち」社員を生むなどといった、弊害への反省から、今日ではマトリクス型やプロジェクト型など、さまざまな組織形態が生まれています。

さまざまな企業における組織形態(ITパスポート講座組織形態の概要)
http://www.it-passport.org/kouza/company/organization.php

かつて主流を占めていたピラミッド型組織の場合、「愛社精神」という言葉に象徴されるように、忠誠心の対象は「組織」に向くことが前提でした。しかし、いまやそうした言葉は死語と化しています。では、かつて「組織」に向かっていた忠誠心や帰属意識はどこに行ってしまったのか。

それはおそらく忠誠心の置き所が「組織」から「仕事」や「共に働く人」に移ったのだと私たちは考えます。

だからこそ、人々の働き方は多様化を志向し組織の枠を超えた領域にまで拡がっているのではないでしょうか。もしこの考察が正しければ、組織に忠誠心を誓わせるような考え方は、時代から乖離しているものといわざるをえないでしょう。

最後に

ワークスタイルというのは、どれか一つに収斂したらそのまま不変の地位を得るものではなく、時代と状況に応じて移り変わっていくものなのです。こうした性質があるものに対し、過去の経験に基づいて拒否反応を示すというのは、長期的に見ればナンセンスなことではないでしょうか。

「Synclogue」(シンクローグ)は、Windowsアプリの同期という新しいビジネスで、新しいワークスタイルを支援しています。これからもこのブログを通して、定期的に皆さんと一緒に「よりよく働く」ための方法を考えて参ります。

次回もぜひお楽しみに。

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